「BCP策定の第一歩は基本方針から」 事業協同組合のBCP策定支援 其の②

こんにちは、コンサルタントの佐藤雅信です。

BCP策定の第一歩はBCP基本方針の決定であることは前回も述べておりますが、

https://bizsupli.jp/node/172

 

BCPを作成したものの社内での周知や展開に苦戦されている企業の原因のひとつに

BCP基本方針が「ぼやけている」ことが、挙げられます。

漠然とした内容が綺麗な言葉で飾られており、基本方針とBCPの内容が乖離している。皆さんのBCP基本方針は、わかりやすいでしょうか。

 

今回は、BCP完成までの流れの最初の関門(と言えるぐらい重要です)、BCP基本方針を決定するまでの流れを山梨県山砕石事業組合様での支援を例に説明します。

 

 

前回①でご説明いたしましたが、

BCP策定ワークショップの第1回ではBCPの基礎知識の説明と自分達の業界を理解しBCP基本方針を決定しました。

 

自分の会社はどの業界でどんな特色を持っているのか?

いきなり質問されて、皆さんは業界の特色を簡潔に説明できますか。

例えば、コンサルタントから説明を聞くと

「なぁんだ、当り前の事じゃないか」と口にされることばかりです。

また、皆さんの会社の「こだわり」って何でしょうか。

実は、この「こだわり」こそが、他社に負けない特色であり、長年にわたり培ってきたノウハウであり、事業そのものではないでしょうか。

 

よく見かけるBCPの継続策は、

壊れた機械の代替策や停電に備えるための発電機、自動車の燃料確保など「壊れたものの代わり」「無くなったら困るモノの確保」といえる内容が代表的ですが、本当にそれだけでしょうか。

会社として事業として「守るもの」は何でしょうか。

 

すでに作成された他県の同業企業のBCPを拝見すると、

設備や機械の故障や破損への対応策が表記されているケースが多く、

確かに設備は砕石で重要な経営資源ですが、設備を含めた事業全体を見渡して「事業の特色」「事業へのこだわり」を考えてみましょう。

 

砕石業の特色を簡単な資料に描きましたので下図をご覧ください。

 

砕石業の特色の代表的な項目を説明しますと、

砕石は山深い採取場での剥土からスタートします。

山を切り開くため①環境保全、環境への配慮を優先し、②採取した跡地に植林を行い、緑化や公園の整備に努めています。

また、採取には大型の機材やダイナマイトを使用するため③安全対策に注力しています。

砕石業を営むためには採石法をはじめ多くの関連する④法令を順守し、そのためにも従業員を育成し⑤国家資格の取得に務めています。

 

砕石は私たちの住む町の道路や地盤の基礎に使われ、

ビルなどの建物の建設に必要な生コンクリートに不可欠な材料(骨材)ですので、

厳しい⑥品質基準を達成することが日本工業規格に規定されています。

以上の6点以外にも特色はありますが、

例えば

毎日、しっかりと順守している法令や安全管理、品質を災害が起きたから、無視することは出来るでしょうか。

答えは、ノー(No)です。

 

今回のBCP策定ワークショップは、

このように自分達の事業の特色、言い換えるならば災害が起きても「守らなければならないこと」の整理からスタートしました。

 

皆さんの会社、または事業の特色はどのようなものがあるでしょうか?

すでにBCPを策定されておられる方は、

事業継続策に自分達の事業の特色や会社のこだわりが、しっかりと守りぬける内容になっているでしょうか。

見直しをするポイントのひとつとしてください。

 

ご参考までに、砕石業に関連する生コン業の特色を下図に描いてみました。

 

砕石会社で採取された骨材を受入て、生コン工場で製造し品質検査をクリアしたものが運搬され、建設現場に搬入されるまでが生コン業の範囲となります。

 

生コン業の代表的な特色は、

①在庫のきかない製品(混ぜ合わせると凝固が始まります)であること、

②JIS A5308に規定されており需要地の近くに工場が立地すること、

製造業であるとともに中間製品(資材)の③運搬が主な役割、

多くの地域で④協同組合による共同販売が行われ、製品の特徴から⑤環境配慮が必要とされています。

他の業界に比べ組合員のJIS取得や環境ISOの取得が極めて多いのも特色の一つです。

そして、JIS以外に業界として「マル適」マークの取得を推進するなど⑥品質基準への厳しさも特色のひとつと言えます。

 

以上のように、

生コン業界において日々、品質を重視、品質にこだわった事業を展開されておられるのがご理解いただけると思います。

 

では、災害が起きた場合、どのような対応が必要でしょうか。

生コン会社のBCPを拝見すると、

災害後の設備の修理、再稼働に注力された継続策を散見しますが、それだけで良いのでしょうか。

賢明な皆さんは、もうお気づきのことと思います。

 

砕石業のBCP策定に話を戻しますが、

後工程の生コン業界がJIS規格をはじめ「品質」を順守されるのですから、

砕石業においても骨材として提供する製品はJISの順守が重要となります。

万一、提供している製品が出荷不能となり別の製品を納入することになると、新たに生コンのJIS申請が必要となり、

申請後の承認までに平均3ヶ月を要することになります。

生コン工場の再稼働に3ヶ月以上が必要となり、事業に大きな影響を与えることも想定されます。

 

事業の特色は、BCP策定メンバーの方々には「当り前」の事ばかりですが、

この当り前のことを整理し検討することで、BCPの基本方針を明確にすることが出来ました。

(詳しい手法は、「知識ゼロから始める超実効的BCP」  https://bizsupli.jp/node/150

 

BCP策定メンバーと利害関係者ごとに事業を継続するために必要な要因を検討しましたが、

災害が発生した後にどのタイミングでどの業務(行為)が必要か、または出来ることが必要か、

たくさんある通常業務の中で、「何が必要であるか、選ぶのが難しい」と意見がでましたので、

基本方針の検討に引き続き「業務の棚卸し」を行いました。

 

通常業務を棚卸しすることで、

基本方針で掲げた事業継続の目標を達成するために、不可欠な業務を検討することが容易であり、漏れなく選定することが可能となります。

 

災害が発生したら、どのような状況になり砕石業の通常業務はどのように変化するかをイメージ図に描きました。

 

 

災害の発生により、

停止する通常業務のうちで止めることが出来ない業務と一旦停止した後に再開しても大丈夫な業務を洗い出し、

災害で新たに発生する業務を想定することで、発災から復旧までの時間の経過に沿った業務の流れがイメージすることが出来ます。

 

さて、次回の第2回BCP策定ワークショップは

BCP基本方針を達成するための継続・復旧策を一枚に描く「BCP概要(BCP  Framework)」の検討・作成です。

 

 

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