【クイズで学ぶBCP】継続・復旧の対象とすべき業務はどう選ぶ?

ユーザー ryoichi.ishihara の写真

問題

 

(一般的には中核事業、重要業務と呼ばれることの多い)BCPが継続・復旧の対象とする事業や業務の選び方として最も適切なのは次のうちのどれでしょうか?

 

  1. 創業以来の会社の柱となっている事業およびその事業の主要部分を構成する業務を選択
  2. 必要ない事業は営んでいないので、全ての事業および業務が継続・復旧対象
  3. 顧客ごとの重要度を評価し、重要顧客に与える影響の大きい事業および生じる影響の大きい業務を選択
  4. 売上、利益などに基づく定量的な指標で評価して重要度の大きい事業および業務を選択
  5. ステークホルダー毎に求められるであろう復旧の状態、時期を洗い出し、それを満たすために必要な継続・復旧活動を設計

 

理由も含めて、ぜひ考えてみてください。

 

 

解答&解説

 

実際にこれが出来ているBCPを見ることはほとんどありませんが、弊社のBCP策定手法では、5. ステークホルダー毎に求められるであろう復旧の状態、時期を洗い出し、それを満たすために必要な継続・復旧活動を設計することによりBCPが継続・復旧の対象とする範囲を定義します。

 

では、それ以外の選び方の問題点を見ていきましょう。

 

1.については、結果的に同じものが選択される可能性は高いでしょう。

しかし、現在平常時に重要な事業だからといって、継続・復旧の優先度が高いとは限りませんし、平常時にその事業の主要部分を構成する業務だからといって継続・復旧に必要な業務とは限りません。

例えば、計測機器の製造を主力事業としている企業が、大地震発生時に新規に立ち上げている医療機器事業の復旧を優先する、製造業の根幹をなす生産業務より、まずは出荷業務の継続・復旧を優先するということは十分に考えられます。

 

2.については、平常時によほどの余剰な経営資源を抱えているのであれば可能ですが、有事の際に全ての業務を平常通りに運営するだけの経営資源の余裕を持つ企業はまれでしょうから、実現性が低いと言えます。

この解説を読むと、皆さん当然だと感じると思われますが、実際にはこのようなBCPを作っている企業も多いです。

 

3.については、1.と同様に、結果的には同じものが選択される可能性は高いでしょう。

しかし、事業というものは顧客との関係のみで成り立っているわけではなく、仕入先や外注先などとの連携も維持しなくては事業を継続できませんし、法令の遵守や社会からの要請に応えるための対応も行わなくてはなりませんので、必ずしも重要顧客への対応を優先すれば良いとは限りません。

 

4.についても、定量化によって印象やあいまいさに流されない正確な判断ができるメリットはありますが、それだけでは考慮すべき要素に抜け漏れが生じる可能性が高いと言えます。

定性的な条件についても考慮して継続・復旧の範囲を設定することが望ましいと言えます。

 

5.にあるように、ステークホルダーを洗い出し、それぞれのステークホルダーから求められることを洗い出して、優先順位付けを行うことにより、貴社のBCPが何を目的に策定されるのかについて、他の手法と比べて精緻に誤りなく定義することができます。

そして次に重要なのは、継続・復旧活動を設計するという点です。

事業を継続・復旧するということは、平常時に行っている業務を継続・復旧することとは必ずしも一致しません。

例えば、映画館において平常時に最重要であろう上演のための業務は、大地震発生時に早期の継続・復旧は期待されないでしょう。

平常時は行っていない、来館者の避難誘導、事態が落ち着くまでの滞在の支援といった業務を円滑に実行に移すことが重要ですので、継続・復旧すべき業務を選択するという考え方ではなく、事業を継続・復旧するための業務を設計するという考え方が重要になります。

 

いかがでしたでしょうか。

残念ながら、世の中のBCPのほとんどは1~4のいずれかのアプローチで作られてしまっています。

ぜひ貴社のBCPについても継続・復旧の範囲が適切に設定されているか見直してみてください。

 

コメントを追加